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【本紹介】日本の闇の歴史と、今でも残り続ける概念『憑霊信仰論』

憑霊信仰論 妖怪研究への試み

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著:小松和彦
出版:講談社学術文庫
発行:1994年


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「憑く」という語の本来の意味は、事物としてのものにもともと内在する精霊や、異界の神霊などが、別の事物としてのものに乗り移ることを意味していた。本書は、こうした憑依現象を手懸りにして、狐憑き、犬神憑き、山姥、式神、護法、付喪神など、人間のもつ邪悪な精神領域へと踏み込み、憑依という宗教現象の概念と行為の体系を介して、日本人の闇の歴史の中にうごめく情念の世界を明らかにした好著。
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出典元:http://bookclub.kodansha.co.jp/

 

「憑きもの」をより詳しく知るための聖書

学術研究を分かりやすくまとめた本

 

本書は、民俗学者である小松和彦氏が執筆した8つの学術論文を、一般の人でも理解できるようにまとめた参考書である。

 

初めて「憑霊信仰」に触れる者でもわかりやすく、かつ学術的な考察で、日本における「憑霊信仰」の歴史を知ることができる。

 

病気や不幸をもたらすもの

 

科学や医療が発展した現代では、病気の原因はほぼ解明できる。地震や雷などの超常現象も、科学的に説明できる。

 

しかし過去の人々はそうではない。謎の病や予測できない災害が山ほどあったはずだ。そんな人々にとって「憑霊」や「呪詛」こそが、超常現象の原因なのだ。

 

理解できない事象を理解するために「憑霊信仰」が誕生し、長い歴史と共に日本人の心に根付いたのである。

 

ツキという言葉の意味

 

憑霊信仰が廃れた今でも、その名残が形を変えて人々に浸透している。それが「ツキ」である。

 

現代の日本人は誰でも「ツキが回ってきた」「今年はすごくついている」といった言葉を使うが、その語源は理解していない人がほとんどに違いない。

 

本書を読めば、「ツキ」の本来の意味が理解できる。

 

そう、この言葉は漢字にすると「憑き」であり、極端な幸運や不運、謎の病気や不幸の死が「霊に取り憑かれた」という解釈から誕生したのだ。

 

私も本書を読んで初めて「ツキ」の意味を知り、まさに「目から鱗」であった。

 

「憑きもの」に対する理解を深めるために

 

本書は、憑霊信仰とその民俗学を、ある程度理解したい方へお勧めする一冊だ。

 

なぜ人々は「妖怪」「付喪神」「式神」「呪詛」を生み出したのか。当時の人々が抱いていた恐怖や、宗教概念などの話題がぎっしり詰まっている。

 

学術論文のまとめなので、多少とっつきにくい内容もあるが、「憑き」に興味があれば手に取って読んでみよう。