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【CoCシナリオ】縫神家の猟犬

舞台は縫神山の深くにひっそりと建つ、「縫神家」の屋敷。彼らは犬神憑きの家系で、古くからの伝承を今も語り継いでいるらしい。探索者は一族の血みどろの争いに巻き込まれる事となる。

 目次

1. シナリオ概要

本シナリオは2018年1月に行ったセッションで作成したシナリオを、キーパリングしやすいように書き直した内容となっている。映画「犬神家の一族」や小説「パスカヴィル家の犬」が下敷きとなっており、お馴染みの「湖に沈んだ逆さま死体」も登場する。また、本シナリオのキーワード「犬神筋」に関する知識は、「憑霊信仰論 妖怪研究への試み」を参考書にしている。興味のある方は是非読んでみると良い。

lapu-cosmic.hatenablog.com

 

2018.06.02…「9. 情報収集(1日目)」の文章を一部修正。

 

難易度★★★★☆
人数 4~5人
プレイ時間 4~5時間
推奨技能:〈歴史〉〈図書館〉

 

戌年ということでティンダロスの猟犬にちなんだシナリオを作成したが、思った以上にボリュームを増やしてしまい、公開用に書き直すのに大変苦労した。4人の探索者でチャットセッションを行い、12時間を要している。

2. キーパー向け情報

本シナリオでは、ティンダロスの猟犬を「てぃんやろす」という似て非なる神話生物として扱っている。混血種という設定で、空間移動は可能だが時空を超えるような能力は無い点に注意して欲しい。登場するNPCが多いため、キーパリングの難易度は高い。起こるべき悲劇を事前に防ごうとされては困るので、プレイヤーには殺人は防げない事を言っておいた方が良いかもしれない。

 

縫神家は「犬神憑き」の家系で、代々「祈祷師」として他人に呪詛をかけていた(犬霊「てぃんやろす」を憑りつかせていた)。現当主の「縫神清江門」の死後、遺産相続を巡って子孫がそれぞれ策謀を巡らせる。殺人事件の黒幕は長男の「縫神清一」であり、てぃんやろすに変異した「縫神梅美」を「憑き書」で操っている。長女の「縫神蝶」は跡継ぎ目当てて探索者の一人に憑りつく。この2人の行動が、事件のきっかけとなっている。

3. 主なNPC

本シナリオではNPCが多数登場する。各NPCにより個性をつけてRPすると、キーパリングがしやすいだろう。以下にNPCの情報と家系図、縫神家MAPを示す。

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資料1:家系図

 

この家系図では清江門の息子は記されてはいない。縫神家の女は代々、てぃんやろすに化けて外部の人間に憑りつき、縫神家の屋敷におびき寄せては夜這いを仕掛け、子を宿しているためである。これは「犬神筋」の家系が部落民から忌避されており、嫁にいけなかったという背景を元に設定されている。

 

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資料2:縫神家の敷地MAP

 

「縫神清江門(ぬいがみきよえもん)」

90代の老人。セッション開始時には死亡している。縫神清次に跡継ぎとなって欲しいため、遺言で彼を贔屓にする。

 

「縫神清一(ぬいがみきよかず)」

縫神清江門の孫の中で、最も年齢が高い30代の男性。顔面にゴム製の白マスクを被って、着物姿をしている。自衛隊に入隊して鍛えたため、筋肉質でがっちりとした肉体である。屋敷住まい。祈祷師としての才能は無いため、跡継ぎは優秀な清次か清志郎に任せようとしている。

(聖痕)白マスクはアフガンでの事故で負った火傷を隠すため、と偽る。白マスクを剥ぐと、顔面にびっしりと黒い結晶の鉱石が生え、最早人間の顔ではない。

(真相)呪われた一族の血を断つため、同時に優秀な従弟に嫉妬していたため、「憑き書」を使用して「てぃんやろす」を操り事件を起こす。

 

「縫神清次(ぬいがみきよじ)」
縫神清江門の孫の中で、二番目に年齢が高い20代後半の男性。祈祷師として類まれな才能を持っていたが、忌まわしき習慣を嫌って絶縁し都会でサラリーマンとして暮らす。生前は縫神家に関して無言を貫いていた。

(聖痕)右足のふとももに黒い結晶が生えている。

(真相)縫神清一が差し向けた「てぃんやろす」によって殺害される。

 

「縫神蝶(ぬいがみあげは)」
縫神清江門の孫の中で唯一の女性である、20代後半の女性。容姿端麗(APP16)で、言い寄って来る男性は多いが、彼女自身はより優秀な男を欲しがっている。地方大学の獣医学部に所属する大学院生。ときおり縫神山へ籠って野犬を可愛がっている。縫神家の女性は跡継ぎになれないため、遺産に興味が無い振りをしている。

(聖痕)背中にびっしりと黒い結晶が生えている。十数年後には全身に広がって、「てぃんやろす」に変身したまま戻れなくなり、縫神家の祈祷師に従属する運命である。

(真相)縫神家の女性は、「てぃんやろす」に変身して他者に憑りつく事ができる。彼女も例外ではなく、優秀な探索者に憑りついて縫神家へ誘導し、子作りをして跡継ぎを残すことで遺産相続に絡もうとしている。

 

「縫神清三郎」
縫神清江門の孫の一人で、20代前半の男性。職業不定。祈祷師としての才能はそこそこであるが、誰もよりも祈祷師として貪欲であり、一族に秘密で呪詛でライバルを蹴落とすことで金銭を稼いでいる俗物。遺産を誰よりも欲しがり、露骨に弁護士に噛みついている。

(聖痕)左足のふくらはぎに黒い結晶が生えている。

(真相)一連の事件とは無関係で、殺されるよりは先に殺してやろうと「呪詛」で縫神清一に犬霊を差し向けるが、「呪詛返し」によりてぃんやろすに殺害される。

 

「エリー」
縫神清三郎の婚約者で、アメリカ人。日本語が不自由で、引っ込み思案。清三郎の貪欲さと強引さに惚れる。清三郎の熱心なアプローチに押されて婚約した。彼の仕事(主に犬霊を作り出すための儀式)を手伝っている。

清三郎が殺害されてからは精神的支柱を失い、自暴自棄となって正気を失う。

 

「縫神清志郎
縫神清江門の孫の一人で、清三郎の弟。10代後半の高校生ながら、祈祷師として既に活躍している跡取り候補。大人しい性格だが、家の名を背負う覚悟が出来ており、呪詛で呪われた多くの富豪を「呪詛の祝い直し」によって救っている。遺産相続に関しては清江門の遺書に全面的に従う意向。

(聖痕)首のうなじに黒い結晶が生えている。

(真相)兄や従弟に対して敵意は全くなく、呪われたら殺される覚悟も出来ていた。そのため縫神清一が差し向けたてぃんやろすに殺害される。

 

「縫神梅美」
清三郎と清志郎の母。「離れ」で寝たきり。

(真相)全身に聖痕がいきわたり、清江門の死をきっかけに「てぃんやろす」から戻れなくなってしまう。縫神清一の持つ「憑き書」によって操られ、縫神清次、丸井数式、縫神清三郎、縫神清志郎を次々と殺害する。もし解放されると真っ先に清一を殺害するだろう。

 

「丸井数式」
清江門の顧問弁護士。彼の死後に遺言状を公開する。屋敷に留まって遺産相続の手続きをしている。

(真相)死体偽装のために縫神清一が差し向けたてぃんやろすに殺害される。

 

ガサラキ
30代女性の使用人。縫神梅美の世話もしている。物静かで、縫紙家に心の底から使えている。キーパーが自由に動かせるキャラクターでもあり、困った際に彼女を動かして探索者を誘導しても良いだろう。

4. ハンドアウト

以下にハンドアウトを記述する。「悪夢に悩まされる者」は重要度が高いが、その他のハンドアウトは必須ではない。

 

・悪夢に悩まされる者
キーパーはPOWとINTの合計が最も高い、男性の探索者を一人選択する。女性だけの場合、このイベントを発生させるかはキーパーが判断する。選ばれた探索者は「5.シナリオの導入」で悪夢を見る。その際に「資料4:探索者が見る悪夢」を渡すこと。

 

・縫神清次の死を調べる者
物語冒頭には、既に「縫神清次」はてぃんやろすに殺害されている。探索者の中に小説家・記者・刑事がいる場合、その事件を調査していることにしても良い。その場合は「6.情報収集」の冒頭で「資料5:縫神清次の死」を渡すこと。

 

・縫神家にまつわる伝説を調べる者
地質学者・民俗学者歴史学者の探索者がいる場合、「縫神家」のルーツを調査し始めた事にしても良い。その場合は「6.情報収集」の冒頭で「資料6:縫神家について」を渡すこと。

 

・縫神清次の婚約者
キーパーの難易度は高くなるが、女性の探索者の一人を縫神清次の婚約者にしても良い。その場合、「6.情報収集」の冒頭で「資料5:縫神清次の死」を渡すこと。クライマックス戦闘では、黒幕はこの探索者を最優先で攻撃するだろう。

5. シナリオの導入

このシナリオでは「憑き」が物語に深みを与える重要なキーワードとなっている。以下の資料を導入に用いて、雰囲気を出しても良いだろう。
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現代に入り、憑霊信仰はほぼ廃れたかに見える。

しかし、それは形を変えただけなのだ。

今でも人々は何かに憑かれている。

「ラッキー。今日は憑いているな」

「自分にも憑きが回ってきた」

「まるで何かに憑りつかれたかのようだ」

「憑きものが落ちた」

「いずれにしろ、あいつは 憑 い て い た の だ」
今宵はそんな、「憑きもの」を巡る物語を楽しみましょう。

貴方が振るダイスが、憑いていたらご注意を…
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資料3:「つき」という言葉の起源

 

導入として、PC1が悪夢を見るシーンを挿入する。
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ああ、今日もまた、この夢だ。
暗い森の中、貴方は佇む。
蟲の音も、フクロウの鳴き声すら聞こえない無音の闇。
その森の闇の中、光る眼が二つ。
グルルル…と唸り、貴方の目の前にその犬が現れる。
ソレは全身がぬめり腐った黒い光沢を放ち
四つ足で、体中に尖った結晶のような鉱石を生やし
卵が腐った匂いをまき散らしながら、貴方に近づいてくる。
貴方は必死に逃げる。
ソレは異常に長い舌を伸ばし、脳みそを吸おうと迫って来る。
貴方は暗い森の中を走る。
裸足の足が血に濡れ、痛みに震えようとも構わない。
逃げなければ!
森を抜けると、山の盆地だろうか。開けた湿原に出る。
そして湿原の中央には、古めかしくも大きな屋敷が見える。
だが屋敷にはたどり着けない。すぐ後ろに、猟犬が迫っている。
腐った匂いの涎を垂らしながら、ソレが笑みを浮かべ
舌を伸ばし、貴方を吸い付こうと―
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資料4:探索者が見る悪夢

 

この悪夢を見た探索者は、正気度を1/1D4失う。この悪夢に慣れることは無く、いずれ正気を完全に失ってしまうだろう。探索者は夢に出てきた屋敷にヒントがあるのではないか、と考えて他の探索者に協力を依頼するところから、物語が始まる。

6. 事前の調査

以下の情報は、探索者の行動によってか、キーパーの判断で好きな順に公開すること。

 

「悪夢で見た屋敷」
探索者は屋敷の表札を思い出そうとしたり、屋敷の外観をインターネットで検索したりするかもしれない。この情報は最初の手がかりになるので、技能無しで情報を開示しても構わないだろう。表札には『縫神家』と彫られており、屋敷の外観から『縫神家』が所有する屋敷であるという情報も入手できる。山の形状から、『縫神山』であることを推測しても良い。

 

「犬の正体」
〈歴史〉か〈オカルト〉に成功すると、悪夢に出てきた犬は『犬神』であることがわかる。『犬神』とは、犬霊の式神のことで、いわば犬の怨念だ。犬神は人為的に作ることが出来るとされている。

 

新聞やインターネットの記事で縫神家のニュースを探すと、縫神清次がマンションで死亡したという記事を発見できる。〈信用〉などで警察から詳しい情報を得れば、以下の資料を渡すこと。縫神清次は本編のきっかけにすぎず、彼の身辺を調査しても大した手がかりは得られないと探索者に告げておこう。
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本編の一週間前、縫神清次がマンションの自室にて死亡。
発見時、部屋全体には死臭と異なる腐臭がした。
現場は密室で人間の出入りは認められなかった。
検死の結果、大脳が殆ど消失していた。外傷は首筋に小さな穴が認められる程度であった。
殺人・自殺・事故のいずれにも該当せず、捜査は難航している。
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資料5:縫神清次の死

 

「縫神家or縫神山」
〈図書館〉など成功すると、縫神家の情報を入手できる。〈知識〉/2または〈歴史〉に成功すれば、既に知っていたことにしても良い。以下の資料を渡すこと。
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縫神家はN県Z市の『縫神山』に土地を持つ一族である。

戦国時代に祈祷師として活躍し財を成した。
祈祷師は病気治しや氏神社の祭り、旧家で祀っている様々な神霊の祭りなどを司る存在である。
麓の部落民からは『犬神筋』として忌み嫌われている。

一族の資産は100億とも200億とも言われ、政治・財界・警察に少なからずの影響力を持つ。

本編の一か月前に、縫神家の屋敷で縫神清江門(ぬいがみきよえもん)が他界している。
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資料6:縫神家について

 

「犬神筋」
この情報は探索者が「犬神筋」について知りたがったら公開しても良いだろう。犬神筋とは、生霊や動物霊に憑りつかれている家系のことである。大抵は、犬神筋を示す聖痕(スティグマ)が体の異常として表れている。

 

「縫神清志郎
探索者が縫神家の人間を調べたり、誰かにコンタクトを取ろうとするかもしれない。その場合は縫神清志郎を登場させると良い。彼は縫神家の正式な祈祷師として、若い年ながらも政治家や財界の者らにその名が知られている。清志郎は縫神家の正式な跡取りなのだ。彼は縫神家の屋敷にこもりっきりなので、直接会うことはできない。電話やメールで清志郎へのコンタクトに成功すると、彼は縫神山の屋敷へ来てくださいと探索者に告げる。犬神を祓うには、屋敷を囲う森の中にある祈祷場で行う必要があるのだ。

7. 縫神家の屋敷

ある程度情報が出そろったら、探索者に「縫神山へ行かないと悪夢は終わらないだろう」と告げ、縫神山へ向かうように誘導する。「縫神清志郎」と接触できたら、誘導しやすいだろう。

 

探索者は車を使って、縫神山へと赴く。林道を車で走って30分ほどで吊り橋が見える。ここで〈目星〉に成功すると、森の中に野犬が多い事に気づく。野犬は舌を垂らし、やせ細った貌で探索者をじっと見つめる。まるで車から出たら食らいつこうという表情で探索者を監視しているだろう。

 

吊り橋を渡ると、道路が舗装されていない砂利道に変わる。更に10分ほど車を走らせると、ようやく開けた場所に建った屋敷の前に到着する。その場所は山々の窪地に位置し、周囲を縫神山に囲まれた湿地帯である。悪夢を見ている探索者が〈アイデア〉に成功すると、夢で見た光景と全く同じことに気づくだろう。探索者らを使用人のガサラキが迎えに来る。ガサラキは屋敷のゲスト部屋に一人ずつ案内し、自由にくつろぐように促す。

8. 遺産相続の争い

マスターシーンとして、以下の描写を行う。探索者は聞き耳を立てて聞いていたことにしても良いし、縫神清次の婚約者がいれば同席していたことにしても良いだろう。

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丸井「それでは早速ですが、亡き清江門様の遺言状を公開致します」

・ひとつ。縫神家の財産の半分、ならびに全事業の相続権を意味する、縫神家の家宝『憑き書』は縫神清次ならびにその婚約者に譲られるものとす
・ひとつ。縫神家の財産の残り半分は、縫神清一、縫神清三郎、縫神清志郎に公平に分配するものとす。

・ひとつ。この遺言状が公表されてより、三か月以内に相続権を有する者が全て死亡せる場合には、縫神家の全財産は、縫神清江門の血縁である孫とひ孫らに公平に分配されるものとす。
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資料7:縫神清江門の遺言状

 

遺言状を聞くと、最も驚くのが縫神清三郎である。もし縫神清次の婚約者である探索者がいた場合、遺産の半分を持っていかれる事にあからさまな不満を述べる。他の3人は、清江門が清次を可愛がっていた事を知っているため驚きはない。以下にNPC同士のやり取りの例を記す。

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ドンッとテーブルを叩いて、清三郎が怒りに震えた表情で立ち上がりました。

清三郎「ふざけるなっ!なんで血縁でもないこの女が遺産を半分もっ!」

清志郎「遺言状は本物なんですか?」

丸井「この遺言状は、清江門様の直筆でございます。間違いなく本物です」

蝶「おじい様は清次お兄様を大変可愛がってたから、不思議じゃないわ」

清三郎「蝶姉も何とか言えよっ!蝶姉は跡継ぎから除外されてるじゃねえか!」

蝶「そうかしら?くすっ」

清三郎は悪態をつきながら広間を出て行きました。

清志郎「ぼ、僕は未成年ですし…こ、これで終わりですよね」

清志郎はおどおどしながら退室します。

清一は結局一度もしゃべらず、ぎろりと灯を一瞥した後に退室します。

蝶「あっらー。せっかく家族が集まったのにねー」

彼女は笑いながら退室します。
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資料8:一族のやり取り(例)

9. 情報収集(1日目)

以下の情報は、探索者の行動によってか、キーパーの判断で好きな順に公開すること。

 

「吊り橋(縫神蝶)」
流れの速い川の上に吊り橋がかかっている。落ちたら命は助からない高さだとわかる。〈目星〉に成功すると、鉄製のロープに何かが噛みついたような跡があるのがわかる。縫神蝶は吊り橋の周囲にいる野犬に餌をあげている。〈生物学〉に成功すると、彼女が野犬に異様なほど好かれていることがわかる。

 

縫神家の跡取り(祈祷師)は男性しかなれないため、縫神蝶はお家騒動とは無縁だと告げる(男の子を産めばその限りではない)。彼女に悪夢の事を聞いても、祈祷師ではないからよくわからない、としか答えない。実は悪夢に登場する犬霊は変身した蝶自身で、有能な探索者と子作りをするためこの屋敷に来るよう仕向けていたのだ。対象が女性の場合、単に生気を欲しがっている事にしても良い。〈心理学〉に成功すると、悪夢を見る探索者に色目を使っていることがわかる。

 

「庭園(縫神清三郎、エリー)」
屋敷の東側には様々な樹木や噴水が設置された庭園がある。しかし奇麗な庭園も、人気が無ければ廃墟と変わらないだろう。探索者らが足を踏み入れると、犬の鳴き声が聞こえる。声の主を探すと、庭園の奥に不自然に開けた砂場があり、その中央から犬の鳴き声が聞こえるのだ。よく見ると、首から下を砂場に埋められた野犬と、傍に蹲っているエリーがいる。彼女は鉈を手にしており、血走った目で叫び続ける野犬の首を斬り飛ばす。この異様な光景を見た探索者は0/1D2の正気度を失う。

 

2人に理由を聞くと、犬霊の式神を作る儀式だと告げる。以下の資料を渡すこと。
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犬霊の式神とは、いわば犬の怨念である。

犬霊の式神は人為的に作ることが出来るとされている。

犬の首から下を埋めて、目の前に餌を置く。

犬は空腹になっても開放してもらえず、ひたすら目の前の餌を欲しがる。

そして犬が狂暴になったところで首を切り落とす。

その犬は怨念のこもった式神となる。

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資料9:犬霊の式神

 

清三郎は犬霊を作り出し、遺産争いで邪魔な縫神清一を呪い殺そうとしている(もっとも、返り討ちに遭って死亡する)。エリーは祈祷師ではないが、婚約者の清三郎が新しい犬霊を欲していたために手伝っている。犬の頭を切り落とすのは彼女の仕事となっている。彼女は何度も野犬を捕まえてはこのように犬霊を作っているのだ。〈アイデア〉に成功すると、縫神山の野犬はこの儀式の生贄に使うために放置されているのだと気づく。

 

「離れ(ガサラキ、縫神梅美)」

屋敷の北から続く道の奥に、ポツンと一軒家がある。和風の屋敷とは違って洋風に作られた別荘のようにみえる。しかし厳重に作られた柵が、まるでこの空間が隔離部屋なのではないかと錯覚させるだろう。探索者らが離れに到着すると、玄関からガサラキが出てくる。ガサラキは「梅美様は病気で人に会える状況ではない」と伝える。無理やり中に入った場合、てぃんやろすに襲われる危険性があると忠告しておこう。

 

「祈祷場(縫神清志郎)」
庭園から森の中へ続く一本道を歩くと、15分ほどで祈祷場にたどり着く。昼間だというのに、ほとんど光が届いていない。異常に暗いその森の中で、祈祷場だけがぽっかり開けている。小さな祠と、その目の前に直径5mほどの白い円が描かれ、その線に文字がびっしり刻まれている。

 

清志郎は祈祷場を清掃しているが、探索者らを快く迎え入れる。悪夢の相談をすると、誰かに「因縁調伏(呪詛)」を仕掛けられた可能性があると告げる。以下の情報を公開すること。

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因縁調伏とは、ある者が他人を憎らしい、妬ましいと思ったとき、その人を不幸にしようと思い、その邪悪な意図を実現するために、神秘的な力や存在の働き(式神)を発動させ、その作用によって相手を不幸にする術。
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資料10:因縁調伏(呪詛)

 

犬霊の容姿を細かく説明すると、清志郎は驚いた表情で、その犬霊は「てぃんやろす」という特別な犬霊であることを告げる。以下の情報を公開すること。
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「てぃんやろす」とは、縫神家に代々伝わる、非常に危険な犬霊である。
その犬霊は通常の方法では作ることができず、清志郎も作り方は知らない。
縫神家の当主に代々継承される『憑き書』に、てぃんやろすを使役する秘術があるらしい。
『憑き書』は縫神梅美が次期当主に渡すことになっている。
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資料11:てぃんやろす

 

「発電機」
屋敷の西側には発電施設がある。屋敷や宿舎の電源、電波塔が設置されている。この発電機が落ちてしまったら大変だろう。そのため、人や犬が入らないように鉄製の柵で囲われている。入り口には施錠もされている。

 

柵の内側には、発電機の他にもう一つ奇妙なオブジェがある。直径2メートルほどの
銀色の球体で、人が1人~2人入れる程度の大きさのオブジェだ。梯子がついており、球体の頭部に鍵付きの扉がある。

 

このオブジェについて屋敷の人間に聞くと、この球体は縫神清江門が業者に依頼して建てたと告げる。〈信用〉や〈言いくるめ〉、または〈説得〉に成功すると、鍵を持っているガサラキがオブジェの中を見せてくれるだろう。内側は全面銀で覆われており、完全な球状となっている。

 

「湖(縫神清一、丸井数式)」
屋敷の北東側は1周1㎞もの大きさの湖が広がっている。湖の手前には手漕ぎ船が止まっており、自由に使えるようだ。深さはそれほどでもないが、藻や川草に足を取られるから危険である。探索者が湖に来ると、縫神清一と丸井数式が会話をしている。〈聞き耳〉に成功すると、以下のやり取りを交わしている事を聞く。
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丸井「遺言…ですか?今から書き留めると?」
清一「ああ。私に万が一の事があれば、その財産は可能な限り国際支援団体に寄付したい」
丸井「何故です?莫大な遺産を子孫に残すつもりは無いと?」
清一「人を呪って脅して手に入れた財産だ。それが何百年も繰り返されている。醜い争いは、終わりにしたい」
丸井「承知しました。これから私室にて…」
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資料12:縫神清一と丸井数式の会話

 

この遺言状は、縫神清一が他の血族を皆殺しにした後、自身が死の偽装工作を行うことで、全ての遺産を手放すための仕込みである。また、丸井数式は夜までに縫神清一に殺害され、死体の偽装工作に利用される。探索者が丸井数式がいなくなった事に気づくと、誰も「知らない。帰ったのではないか」と答えるだろう。丸井が帰っていない証拠を探せば、森の中に隠されている彼の車が発見できる。

10. 夜の秘め事

探索者がある程度情報を入手したら、時間を進めて夜のイベントに入る。皆が寝静まった深夜、個室で寝ていたPC1は再び悪夢を見る。1/1D4の正気度を失うと目が覚めるが、いつの間にか部屋にもう1人いることに気づく。着物を着た縫神蝶がベッドの端に座っており、PC1の体をタオルで拭いているのだ。事情を問いただすと、PC1が悪夢にうなされる声が聞こえ、汗を拭いてあげたと言う(もちろん適当な嘘である)。

 

彼女はおもむろに着物を脱ぎ、一糸纏わぬ姿になるとPC1を誘惑してくる。「真夜中に女性が男性の寝床にやってくる理由なんて…ひとつでしょ?」「これはきっと夢なのよ。とろけるほどの甘い夢」「悪夢を忘れるほど、一緒に気持ちよくなりましょう?」などと甘い言葉を投げかける。夜這いを仕掛けてきた蝶を退けたい場合は、POWまたはSTRで蝶のAPP14と対抗ロールを行う。成功すれば彼女を追い返すことができるが、失敗すれば誘惑に負け、甘い一夜を過ごす。うっかり彼女の背中を見てしまった場合、びっしりとついた黒い結晶に気づいて1/1D3の正気度を失う。

11. 惨劇の始まり

探索者が起床すると、湖の方角で悲鳴が聞こえる。もし湖へ向かったなら、湖のほとりで顔が真っ青のエリーと、湖に「人の足」が二本突き出ている事に気づく。〈目星〉に成功すると、左足のふくらはぎに黒い結晶のような「模様」が認められるだろう。エリーはすぐに気絶し、悲鳴を聞いたガサラキがやってくる。

 

手漕ぎ船を使って足に近づき引っ張りあげると、それは硬直した縫神清三郎の死体だとわかる。その恐怖に歪んだまま息絶えたと思われる顔を見た探索者は0/1の正気度を失う。

 

ガサラキが警察へ連絡し、一両日にこちらへ来ると告げる。〈アイデア〉に成功した探索者は、午後が嵐になることを知っており嫌な予感がするだろう。遺体の検分はガサラキが行う。〈医学〉を持つ探索者に任せても良い。成功した場合、以下の資料を公開する。
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・遺体は縫神清三郎で間違いない。

・死亡時刻は深夜

・死因は不明。溺死ではない

・首筋に小さな穴が認められる

・服は着ていない

・左足のふくらはぎに、尖った結晶のような鉱石が小さく生えている
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資料13:縫神清三郎の検死結果

 

遺体は屋敷の冷蔵室で保管することになる。ほとりの周囲を〈追跡〉や〈目星〉〈生物学〉で探索すると、3種類の足跡が東の森の奥から続いていることがわかる。2種類が男性の足跡で、1種類が犬の足跡である。また、近くの草むらに泥だらけの服と靴が落ちている。縫神清三郎の衣類だ。

 

その後、縫神清一・縫神清志郎・縫神蝶の3人が清三郎の死を知るが、悲しむのは清志郎だけだ。そして3人とも「死んで当然だった」という反応を示す。理由を尋ねると、清三郎は呪詛を乱用しており、いつか「呪詛返し」にあって死ぬだろうと思っていた、と返答する。「呪詛返し」とは、因縁調伏(呪詛)によって向けられた災厄を、返しの呪術で跳ね返す術である。相手が先に仕掛けたとはいえ、結局は因縁調伏と同じく相手側に災厄をもたらすことになる。恐らく富豪のターゲットに呪詛を送った結果として、別の祈祷師に呪詛返しを行われ犬神に呪い殺されたのだろう、と考察する。しかし〈心理学〉に成功すると、3人ともそれは体の良い言い訳で、本当は遺産遺産争いの結果殺されたのだろうと思っている事がわかる。

12. 呪詛の祝い直し

遺体を保管した後、縫神清志郎が「警察が来ればしばらくはお祓いが出来ないので、午前中にやっておきましょう」と探索者に告げる。探索者が祈祷場に集合すると、すぐに清志郎陰陽師の式服を着て登場する。そして探索者全員に広場の中央に立つように告げ、円陣を描いていく。DEX*3でこの円陣を記憶することができる。円陣を描きながら、清志郎は「呪詛の祝い直し」について説明を始める。

 

「呪詛の祝い直し」とは、原因となる呪詛を祓い落し、彼方へと送り鎮める術である。何らかの器に移し、近くの川に流したり、木の根元や掘った穴に埋め、重い石を載せて封じたりする。清志郎は「呪詛返し」が嫌いで、「呪詛の祝い直し」によって穏便に犬霊を祓っているのだ。円陣が完成すると、いよいよ犬霊を封印する儀式に移る。以下の資料を使って描写すること。
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皆は円陣の中央に集まって正座した。

清志郎が何やら唱えると、辺りの空気が一気に冷え込む。

次第に森のざわめきが消えて無音になる。

蟲や小鳥たちは、皆おびえて息を潜めているのだ。

奴がやってくる。黒い獣がやってくる。

皆がやってきた山道から、ソレが駆け上がってきた。

全身がぬめり腐った黒い光沢を放ち
四つ足で、体中に尖った結晶のような鉱石を生やした獣。

卵が腐った匂いをまき散らしながら、円陣の周りをうろつき入ろうとしている。

清志郎が術を唱えると、突如として地面が陥没し獣が落ちた。

獣がもがけがもがくほど穴が深くなり、砂のように体にへばりつく。

頭を残して全てが土に埋まったその獣が吠える。

犬の雄たけびとは思えぬ、全てを死に追いやるような悲鳴。

清志郎は素早く丸石を抱えて近づき、獣の真上から落とした。

すっぽりと顔を覆われた獣の悲鳴が掻き消える。

まるで、初めから獣などいなかったかのように、その丸石は鎮座していた…
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資料14:呪詛の祝い直しの描写

 

この光景を目撃した探索者は1/1D6の正気度を失う。

13. 惨劇再び

このシーンから、縫神清一・縫神蝶・縫神清三郎は登場しない。黒幕の清一は潜伏し、清三郎は「てぃんやろす」に襲われ死亡、蝶は呪詛の祝い直しで封印されているからだ。NPCを登場させる際は注意すること。

 

呪詛の祝い直しを終えると、風が強くなり嵐の到来を予感させる。屋敷へ避難すると、ガサラキが電話口で警察と話をしている。聞くと土砂崩れが発生し、すぐ嵐がやってくるので警察はこちらに来れないらしい。嵐は明日の朝まで続くので、今日はこの屋敷で泊まるしかない。

 

そしてガサラキを話をしていると、屋敷内を焦げ臭い臭いが漂ってくる。〈アイデア〉に成功すると、それは肉を焼いたような特有の臭さだとわかる。ガサラキが地下のボイラー室からの臭いだと気づき、見てこようとする。一緒についていくと、ボイラーの釜戸に火がついており、丸窓に真っ黒になった人の足が見える。人が焼かれる光景とその臭いを嗅いだ探索者は0/1D2の正気度を失う。釜戸の火を止めた後、エリーも地下に降りてくるが、探索者は清一・蝶・清三郎が一向に来ないことに気づくだろう。

14. 情報収集(2日目)

以下の情報は、探索者の行動によってか、キーパーの判断で好きな順に公開すること。

 

「焼け焦げた遺体」
遺体は真っ黒こげに焼けているため、成人男性としかわからない。釜戸内には、縫神清一の服の切れ端がある。また、焼けかけた白いマスクもあるため、NPCは縫神清一が死んだと確信する。しかし〈医学〉に成功すると、体の何処にも黒い結晶が無い事に気づき、この死体が縫神家の者でない事が予想できる(実は丸井数式の死体である)。

 

「縫神清三郎の部屋(縫神清三郎)」
縫神清三郎を探して彼の部屋へ入ると、清三郎は椅子に座って皆さんを見つめているように見える。 しかしその眼には生気が宿っておらず、虚ろな表情だ。探索者が近寄って彼の肩に手を置いた瞬間、清三郎は椅子から崩れ落ちるように倒れる。〈医学〉または〈目星〉に成功すると、首筋に小さな黒い穴が開いていることに気づく。〈アイデア〉に成功すると、抵抗した形跡がない事から、彼はこうなることを覚悟していたのだろうと予想できる。清三郎の死を見た探索者は0/1D4の正気度を失う。


「離れ(ガサラキ、縫神梅美)」
嵐の中でも離れへ行くことはできる。到着するとガサラキがついてきていて、この家には梅美しかいないから戻って下さいと言い出す。〈説得〉か〈信用〉に成功すると、ガサラキは観念して探索者を中へ入れて真実を話す。

 

部屋は洋風で、一見すると奇麗に掃除されているが、〈目星〉に成功すると部屋の角の汚れが落ちていないことに気づく。。角だけ黒ずんでおり、わずかな腐敗臭がするだろう。どの部屋にも、そのような場所が一か所か二か所はある。この汚れは、梅美がこの「離れ」で暮らすようになってから現れるようになったらしい。何度汚れを落としても、しばらくするとまた汚れてしまう。梅美が消えてからは掃除をしていないが、汚れも増えなくなった。

 

「離れ」をくまなく探索しても、梅美はいない。ガサラキに事情を聞くと、縫神清江門の死後に後を追うように姿をかき消したのだと告げる。以下の資料を公開すること。
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【縫神梅美】
彼女は全身に結晶のような尖った鉱石が生える病に罹っていた。
長女、次女も同じような病に罹った後、十数年前に忽然と姿を消した。
梅美は生前、失踪しても息子たちには伝えないようにとガサラキに懇願していた。
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資料15:梅崎夢美について

 

ガサラキは「この一族は呪われています。長年この一族に付き合ってきましたが、終ぞ理解することはできませんでした」と話して探索者に協力的になる。また、縫神家の聖痕について詳しく知っている。縫神家の血縁は、体の一部に聖痕が出来る。更に女性は聖痕がいずれ全身に聖痕がいきわたるのである。

 

「図書室」
離れには図書室がある。縫神家の血縁と使用人のガサラキしか入れないが、ガサラキを説得すると鍵を開けて入室が可能になる。〈図書館〉に成功すると、縫神家の起源やてぃんやろすの真相について知ることができる。以下の情報を渡すこと。また、『憑き書』は探しても見つからない。縫神清一が持ち出しててぃんやろすの使役に利用しているためである。
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戦国時代のこと。
「縫神山」に渡来人が現れ、キリスト教の布教を行ひき。
当時、隣地との争ひが絶えず没落したりし縫神家の当主は、神父より「憑きの書」を譲り受く。
縫神家は「因縁調伏」を駆使して隣地の人々らに「てぃんやろす」を差し向け、次々と殺害しき。
さて彼らの隣地を丸ごと手に入れ、周囲よりは犬神筋の一族なりと恐れられき。
その代償に、縫神家の女は「てぃんやろす」となる運命を背負ひき。
縫神家は、てぃんやろすの猟犬を操る、祈祷師としての血筋を持つ血族となりき。
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資料16:縫神家の起源

 

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「てぃんやろす」は、異界に生くる獣なり。
角がある場所を通じてこの世に現る。
普段は霊体に、獲物を喰らう時に実体化す。
彼の猟犬は、人と交はりし混血種も存在す。
獣は意思を持ちて行動し、自らの欲のままに動く。
血族に仇名す輩に憑りつきて、その脳を貪るのなり。
彼の猟犬は、混血種なる同族でしか使役できず、操ることも能はず。
彼の猟犬は、物理的なる障害を受けず。雷や円陣を恐る。
古来より猟犬を使役するものは、猟犬を丸き球体に閉じ込めてゐけ。
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資料17:てぃんやろすの真相

 

「祈祷場(縫神蝶)」

探索者が祈祷場に封印されたてぃんやろすが縫神蝶であることに気づき、石を取り除くかもしれない。その場合、てぃんやろすは土から飛び出てあっという間に森の中へ消える。その後、CX戦闘の2ラウンド目で加勢しに来るだろう。

15. 黒幕との対峙

探索者が「黒幕は縫神清一である」「てぃんやろすの正体は、縫神家の女の成れの果てである」と見破った場合、クライマックスに移る。屋敷の居間から悲鳴が聞こえ、探索者が駆け付けるとガサラキが胸から血を流して倒れている。傍らには鉈を持ってぶつぶつ戯言を唱えるエリーがおり、婚約者を殺されたショックで正気を失っている。同時に、今の角からドス黒い煙と共に、「てぃんやろすの猟犬」が出現する。探索者はこれらの光景を見て正気度を1D2/1D12失う。探索者・エリー・てぃんやろすの三つ巴となった状態でクライマックス戦闘を開始する。

【クライマックス戦闘】

「エリーを殺害or説得」
探索者は彼女を説得することができる。〈説得〉〈信用〉〈言いくるめ〉+適切なRPに成功すれば、エリーは戦意を失って鉈を落とす。エリーを殺害することも可能だが、彼女が死亡した場合、探索者は正気度を0/1D6失う。

 

「てぃんやろすを足止めor封印」
てぃんやろすに雷のダメージを与えると、そのラウンドは行動できない。また、てぃんやろすの標的を自身に変更させることもできるだろう。注意を引きつけた状態で発電施設にある「球体のオブジェ」に入ることで、てぃんやろすを封印することが出来る。当然PCは球体内で貪り喰われ、ロストすることになるだろうと忠告する。球体はあくまで最終手段である。祈祷場の円陣を覚えていた探索者はDEX*3で円陣を描くことができる。その円陣に入ったてぃんやろすは攻撃と回避の成功率が半減する。清三郎と同じように封印を試みても失敗するため、事前に忠告しておくと良いだろう。

 

「推理で真犯人を炙り出す」
推理RPを行い、一連の事件の殺害犯を当てる(犯人は縫神清一)。正解すると縫神清一が登場し、白いマスクの下に隠されていた素顔(顔全体がびっしり結晶に覆われたおぞましい姿)を見せつける。その光景を見た探索者は1/1D3の正気度を失う。動機を述べた後に、探索者を殺そうと「てぃんやろす」に命令を下しつつ攻撃してくる。縫神清一が戦闘不能になれば戦闘は終了する。清一を戦闘不能にした者は、彼が所持していた『憑き書』を獲得する。

 

「縫神蝶の解放」
探索者が祈祷場にの石を取り除いた場合、てぃんやろすが土から飛び出るが探索者の味方となる。既に開放していばた場合、CX戦闘の2ラウンド目で加勢しに来るだろう。

 

エリー、発狂した婚約者
STR10 CON8 SIZ10 INT12
POW10 DEX13 耐久力9
ダメージボーナス0
武器:鉈 60% ダメージ1D6+1+db
装甲:なし
正気度喪失:なし

 

てぃんやろす、縫神家の女の成れの果て
STR18 CON30 SIZ16 INT18
POW25 DEX12 耐久力20
ダメージボーナス+1D6
武器:舌 90% ダメージ1D3のPOWを吸収
前脚 80% ダメージ2D6+POT6
装甲:物理的な攻撃は1ポイントしかダメージを受けない。雷の攻撃を受けると1D4のダメージを受け、そのラウンドは行動できない。
正気度喪失:1D2/1D12

 

縫神清一 一族を呪う者
STR16 CON12 SIZ16 INT13
POW10 DEX10 耐久力14
ダメージボーナス+1D4

武器:憑き書 100% てぃんやろすに命令し追加で1回攻撃する
ショットガン 50% ダメージ2D6 2発
装甲:なし
正気度喪失:1/1D3

16. 結末

縫神清一を倒した探索者は1D10正気度ポイント、エリーを正気に戻して助けた探索者は1D3の正気度ポイントを獲得する。『憑き書』の呪縛から解放されたてぃんやろす(縫神梅美)は、縫神清一が生存していた場合に食い殺す。そして何処へとなく姿をかき消す。縫神蝶が解放されていた場合、彼女は悪夢を見ていた探索者に、縫神家の跡継ぎにならないかと誘惑してくるだろう。