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【映画紹介】病的なまでに丁寧に作られた映画『ジェーン・ドゥの解剖』

クトゥルフ神話とは関係が無くても、ホラー映画はシナリオ作成や探索者のRPをする上で大変役に立つ。私が6年間もCoCシナリオを作り続けられたのは、映画という趣味があったからに他ならない。

 

今回紹介する映画『ジェーン・ドゥの解剖』はAmazonプライムで視聴したが、新たなアイデアへのインスピレーションが掻き立てられる良質な作品であったため紹介しようと思う。

 『ジェーン・ドゥの解剖』

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原題:The Autopsy of Jane Doe
監督:アンドレ・ウーヴレダ
出演:ブライアン・コックスエミール・ハーシュ
公開:2016年

 

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ある一家が惨殺された家の地下に埋められていた裸の美女“ジェーン・ドウ”の死体。彼女の検死を行うことになった、検死官・トミーと息子のオースティンがメスを入れる度に、その死体に隠された“戦慄の事実”が判明し、次々に怪奇現象が発生する。外では嵐が吹き荒れる中、遺体安置所という閉ざされた空間で、逃げ場のない恐怖がはじまろうとしていた……。
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出典元:http://janedoe.jp/

 

シチュエーションスリラーの傑作に入る完成度

序盤~中盤は解剖、検死、怪奇現象の繰り返し

この映画は上映時間が86分と短く、しかも主軸は身元不明女性の死体“ジェーン・ドウ”の解剖と検死であり、そのシーンに大半が割り当てられている。

 

親子は解剖する度に死因を特定しようと考察を重ね、時に親子の情を見せつつ、謎を解き明かそうとする。合間に怪奇現象は何度も発生するが、フィクションラインを超える瞬間まではあまり怖くない。

 

正直に言って、後半のホラー展開よりも前半の解剖シーンの方が面白い。というのも徹頭徹尾、シーンを丁寧に作っているからだ。

 

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検死官親子、トミーとオースティン

 

グロでもエロでもない

この映画は遺体の解剖を丁寧に描写しているため、グロいことは覚悟していた。しかし実際に映画を観ると、グロさをほとんど感じなかった。

 

対照的に“ジェーン・ドウ”のプロポーションは美しくエロい。そんな彼女が全身を晒すシーンが何度も出てくるのだが、奇妙な事にエロさをほとんど感じなかった。

 

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“ジェーン・ドウ”とは、名称不明の女性に名付けられる仮の名

 

一般のホラー映画は、エログロを強調することでエモーショナルな絵作りをしているが、その代わりにリアリティはほとんど失われる。この映画はその逆で、エログロを強調せずにリアリティを重視した絵作りをしているように見えた。

 

つまりホラー映画としては丁寧すぎるのだが、それで面白いと思えるのは監督のセンスと技量に他ならない。

 

登場人物が魅力的

物語が中盤を過ぎると、フィクションラインを超えて本格的なホラー展開に突入するわけだが、それでもあまり怖くない。なにせ登場人物は怪奇現象に怯えつつも、ヒステリーもパニックも起こさないし、足の引っ張り合いもしない。

 

親子は怪奇現象を分析し“ジェーン・ドウ”が原因だと考え、彼女の謎を解明しようと協力し合って行動する。つまり解剖を再開するのだ。観客はホラー展開よりも、彼らが謎を解き明かす方に注目していく。

 

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次々と怪奇現象が発生し、遺体安置所から出られなくなるが…

 

この映画には「リアリティ」が息づいている

私がこの映画を好きだと言える最大のポイントが、丁寧に丁寧に絵作りにこだわった結果、映画全体に奇妙なリアリティが生れている点である。

 

映画であるから当然フィクションなのだが、“ジェーン・ドウ”が実際に存在すると言われても信じてしまいそうな説得力がある。ホラーというジャンルでここまで丁寧な映画は珍しい。それでいて映画の面白さは損なっていない。

 

ホラー映画としては異質なほど地味な仕上がりとなっているが、私はこれが欠点だとは思わず、監督の作家性が如何なく発揮された良い例だと捉えている。

 

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物語終盤の一幕。あくまで検死により謎を解こうとする親子。

 

この映画はホラーが好きな人にも苦手な人にもお勧めできる、良質な作品だ。果たして“ジェーン・ドウ”の正体を解き明かせるのか?検死官親子の顛末は?気になった方はぜひどうぞ。

 

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シナリオとして作成するなら、探索者1人~2人で短いセッションになるだろう。医学に成功して遺体の正体が少しずつ判明する合間に、怪異に襲われ…という内容で書けるかもしれない。解剖対象が神話生物でも面白そうだ。