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【映画紹介】『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』は日本版「狂気山脈」だ

去る2017年、twitterで流れていた不穏なフレーズに目を魅かれた。「今年のドラえもんは、狂気山脈をモチーフにしている!」と。『狂気山脈』はクトゥルフ神話を生み出したH.P.ラヴクラフト著の長編小説である。

 

そんな馬鹿な、と思った。

 

ドラえもんと言えば、日本人なら誰でも知っているキッズ向け娯楽アニメだ。かたや『狂気山脈』はクトゥルフ神話を代表するホラー小説。愛と友情に宇宙的恐怖を混ぜるなど、水と油ではないのか?その噂の真相を確かめるべく、私は映画館に足を運んだ。家族連れの子供に囲まれながらも鑑賞した結果…

 

この映画は、まごう事無き『狂気山脈』であった。

 

ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険

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原作/藤子・F・不二雄
監督・脚本・絵コンテ・演出/高橋敦史

あらすじ

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酷暑に我慢できず、のび太たちは南太平洋に浮かぶ氷山を目指す。ひみつ道具の“氷細工ごて”を手に、せっせと遊園地作りに励んでいた彼らは、氷の中に埋まっているリングを発見する。調査の結果、その指輪を覆っていた氷は、10万年前の南極のものだと判明し……。
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出典元:https://www.cinematoday.jp/

 

クトゥルフ好きはニヤニヤを抑えきれない一作

前半はドラえもんクトゥルフ神話

この映画では、クトゥルフ神話がモチーフだと思われる要素がいくつも出てくる。南極の地下に広がる古代遺跡。古代遺跡に潜むタコのようなモンスター(クトゥルフ?)。ラッキーアイテムは星の刻印(旧き印?)。ニャルラトホテプと思わしき敵も登場するのだ。

 

道中でクトゥルフ要素を見つけるたび、思わずにやっとしてしまう。

 

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冒頭1分で登場するタコ型モンスター。

 

前半で私が特に気に入ったシーンは2つ。1つ目はリングを手に入れたのび太が見る夢だ。曖昧で悪夢と予知夢ともとれる、短くも不思議な内容が、いかにもクトゥルフを思わせる。しかものび太は、リングを持ち主に返そうという強迫観念(?)に捕らわれているように思えてならなかった。

 

2つ目はドラえもん一行が南極でソリを走らせるシーンだ。南極の厳しさと闘いながらひたすら走り、リングが眠っていた場所を探す。BGMと合わせて非常に緊迫しており、序盤だというのに手に汗握る。そして南極の地下に埋まる巨大な遺跡を発見する一連の流れが、神秘的かつ若干の恐怖を感じさせるほどの演出であった。

 

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ソリで走るシーン。道具を駆使しても、過酷な旅に変わりはない。

後半はドラえもんクトゥルフ神話ジブリ

ドラえもん一行が古代遺跡の探検を始めると雰囲気ががらりと変わる。「もののけ姫」や「風の谷のナウシカ」を思い出させるシーンが垣間見え、まるでジブリ映画のようだ。

 

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本作のゲストヒロイン、カーラ(CV:釘宮理恵

 

遺跡とゲストヒロインらの正体が明かされてからは、いつものドラえもん映画である。神秘的な演出は薄れたが、私は前半の演出で満足していたので何の不満もなかった。流石にキッズ映画で「狂気山脈」後半の展開をなぞるわけにはいかないであろう。

 

後半では、特にゲストヒロインの過去回想シーンが好みであった。この映画では感動を誘うようなエモーショナルなシーンが(敢えてなのか)少ない。そのため非常に印象的にうつり、彼女らが味わった絶望を想像して涙ぐんだものである。そして決してめげないヒロインの強さに心を打たれるのだ。

 

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過去回想の一幕。「暖」と「冷」の対比。迫りくる死と絶望。

ドラえもん映画でも、最高のエンディングの1つ

散々クトゥルフ要素を散りばめてはいるが、やはりドラえもん映画らしく友情と感動の物語で幕を閉じる。個人的には最高のハッピーエンドで、10万年という時間を利用した演出に甚く感動したものである。

 

この映画は子供でも大人でも、クトゥルフ神話マニアでも楽しめるお勧めの1本だ。本作を作りあげたスタッフに多大な敬意を表したい。

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ちなみに今回の映画で登場する最大の障壁(本作のラスボスという扱いだが、設定としては敵というよりも災厄である)は、クトゥルフ神話の邪神として登場しても遜色ないだろう。能力からすると××××かもしれない。いつかシナリオを作成してプレイしてみたいものだ。